占い
占いは信じる。
信じるというよりは、その日のモットーくらいに思っている。
当たれば思い出すし、当たらなかったらそのまま忘れるので、占いとは良いお付き合いが築けているという自負がある。
そんな私は毎朝寝ぼけながらLINE占いを確認して1日が始まる。
今日は飛びぬけて運勢が良かった。5つの王冠が爛々と光輝いている。
雨が降っていたけどそこまで体が重いわけでもなく、学校に向かうことができた。
最近はもっぱらSHISHAMOやウルフルズを聞いて登校している。
朝の空気に軽やかな女性の声は心地よく、ソウルフルな男性の声は精神にエールを送ってくれる。
流れる音楽に合わせて指でリズムをとるのが好きだ。音と体が一体になる幸福を指先で味わえているからかもしれない。
体全体で味わうならライブに行かなくては。6月末に女王蜂のライブに行きます。
講義室に到着する。講義を受ける。終わる。
身体が随分慣れてくれたおかげで、学校はとても楽になった。
親が作ってくれたおにぎりを食べながら携帯を触っていると後ろから声がした。
一つ下の男の子だった。学年は一緒。学科も一緒。
趣味がライブらしく、前からカバンについているラババンをみて話しかけたかったらしい。学科が学科なので趣味の合う人間がいない気持ちは痛いほどわかる。私は彼に同情した。
連絡先を交換し、自分の好きなバンドの話をした。ツイッターはやっていないことにしておいた。怖いから。
そしてニコニコしながら滑らかに会話をフェードアウトさせた。
17時にある用事まで一人でのんびりするというタスクをこなさなくてはならなかったからだ。
一人になれる場所を探ししながら、ナンパだったと気づいた。ここ数年で姉と「ナンパ会談」を定期的に行っている身としては一抜けした形になる。我々は周りのナンパ話を聞いて都市伝説だと信じて疑っていなかった。それが身をもって存在すると確信した瞬間、UMAを発見した学者のような気持ちになった。恐らく。
姉には多少の申し訳なさを込めて
「ナンパされた!!!!!!!」
と送信した。
数十分後、
「まじかよ!!!!!!!」
「私より先に!!!!!!!」
と返信が来た。
知能指数は似ていると思った。
17時の予定を済まして家に帰ると以前連絡していた人から連絡がきた。
風邪をこじらせ入院し、退院した後に学会の発表で今はアメリカに来ているそうだ。
代用機からわざわざ連絡してくれたとのことで、一先ず「ありがとう」と伝えた。
いや、この1ヶ月弱で諸々起こりすぎやろ。
と言いたかったけど黙っておいた。
週末に姉が帰ってくるのでバイトを入れないことにした。
バイトがなければほぼ暇なので、いろんな人とやりとりしてもらってるのは本当にありがたいことだ。
各位、ありがとうございます。
と、ここまで書いて占いのことを思い出したのだ。
運勢は良かったけど、なんて書いてあったっけ。
トーク画面を開く。
「対人運が好調。特に同じ趣味を持つ仲間と良いコミュニケーションが取れるでしょう」
やっぱ占い、当たるな―。
終わり。